枯れかけた雑草の藪に若い男女がいた。
二人はひと目で高校生とわかるような、きれいな制服を着ていた。それがなぜだかその世界には似つかわしくないように思える。
少し着古しただけでほころんでいないブレザーも、折り目がある程度残ったスラックスも、まっすぐにプリーツの入ったスカートもこの世界には既に残っていないもののように思われた。
世界は文明を忘れてしまうほど、ひどく疲れていた。
しかし、少年と少女がお互いを見つめあう瞳だけは、暖かく、そこに愛を確信しているように感じた。
ふと、気がつくと二人はただの肉の塊になってしまった。なぜそうなったかはわからない。
少女であったものの腕の中には、少年であったものの心臓が強く抱きしめられていた。
二人がどんな形になっても、暖かな気持ちのままでいることは確かだった。