私達はいつも5~6人くらいのグループで友達と遊んでいた。
私は小学校6年生の女子だ。髪をふたつに結んで、スカートはあまり履かない。友達は男子が多く、その時も男子と遊んでいた。
偶然、道端で「XXXX」(表現不能)を見つけた。
「『XXXX』、はじめて見た。こんなんなんだね」
「XXXX」は法律で飼育が禁止されているため、テレビや図鑑でしか見ることがないものだ。
「XXXX」は人の心から生まれ、そして一度生まれると死ぬことはない。大きさは1m弱くらいで、形は極めてシンプルでリュウグウノツカイを極端にデフォルメしたような造形をしている。
薄青がかったゼリーのような質感をしており、体の表面には目と思われるくぼみが2つあるだけだ。
最も不思議なところは「XXXX」には羽ばたく羽もないのに、常に地上から1mくらいのところを浮遊していることだ。
「これ、私達で飼ってみない?」
私の提案に皆が賛成のようだった。その日から、「XXXX」を隠して飼うことになった。私は「XXXX」にひもをくくり、自宅まで連れ帰った。宙を浮いているので重みもなく、なんの苦もなく連れ帰ることができた。
「XXXX」は押入れなどにかろうじて隠せる大きさだったため、周囲に見つからずに飼い続けることができた。
その後、「XXXX」の生態について研究をはじめた。
まず、どこから来たのか。これについては誰かの心から生まれ、宙を漂ってきたとしかわからなかった。
次に、何を食べるのか。これについては、なぜだか「誰かの心から養分をもらっている」という確信があった。
そして、何を目的としているのか。これについてはただ「XXXX」を隠しているだけではわからないため、外に連れ出してみることにした。
「XXXX」に私の服を着せた、というよりはふわふわと浮遊するそれを私の服に放り込んだというほうが正しいだろう。透明なゼリーが服を着ていることに違和感を感じ、「XXXX」に穴をあけ、色の付いた水を注ぎ込み、せめて肌色にした。「XXXX」は死ぬことはないのだから、罪悪感はなかった。